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患者の声 : 側頭葉てんかん 高次脳機能障害 左半身麻痺





杉野啓基さん 40代男性

側頭葉てんかん 高次脳機能障害 左半身麻痺


カンナビノイドの摂取量

CBD 700mg/day

CBG 383mg/day

CBN 350mg/day

CBC 70mg/day

CBDV 13mg/day



Qご病気や症状について教えて頂けますか?


14歳で脳内出血を起こしたのがきっかけで、左半身麻痺、高次脳機能障害、てんかん(側頭葉てんかん)発作を患いました。



Q:脳内出血の時はどのような状態だったのでしょうか?


中学校で放課後に雑巾掛けをしている最中に脳内出血が起こりました。突然の激しい頭痛と左半身麻痺が始まり、やがて言語を上手く話すことができなくなり、歩くことも難しくなりました。学校では対応してもらえなかったため、自転車を松葉杖代わりにして自力で帰宅しました。


幸運なことに自宅前に病院があったので、そこで紹介状を書いてもらい、すぐに大きな病院へ運ばれ、その日の夜に緊急手術をしてもらいました。

生まれつき動脈と静脈が重なる脳動静脈奇形があったことが手術で判明し、脳内出血はその奇形部分の破裂が原因でした。



Q:初めててんかん発作があったのはいつですか?


15歳の春です。高校1年生の授業中に突然発作がありました。新しい環境にストレスを感じたのだと思います。まさか自分にてんかん発作が起こるなど想像もしておらず、学校にもその旨を伝えていなかったので、先生や友達も驚いたと思います。



Q:CBDにはどのようにして辿りいたのかお話頂けますか?


【10代】

高校卒業後、映画のことを学びたいと思い実家近くの工場で働いて資金を貯め、親の援助を受けて、20歳の時にアメリカ・ロサンゼルスに留学しました。


【20代】

成人式の一週間前に留学をしました。留学当初は大学構内にある語学学校に通って語学を学び、その後短大で演劇を、編入先の大学では映画を専攻して、2007年までアメリカで過ごしました。

当初、主治医からは留学を止められましたが、私は抗てんかん薬の服薬と断酒を誓い、夢を追うことにしました。訪米して右も左もわからない私を、弟のように可愛がってくれたのがアフリカ系の外国人で、彼を通じて中米出身の仲間たちと繋がっていく中で、ハーブを熟知する彼らから大麻がてんかんに効くという話を聞きました。



アメリカでは当時すでに医療大麻は合法でしたが、大麻のディスペンサリーは近くにありません。インターネットの過渡期ということもあって、大麻についてのエビデンスを入手することは叶いませんでした。

当時、私は服用していたエクセグランという薬の副作用で、易怒性があり人との交流が難しかったり、えも言われぬ感情があったのでしょう。自分の頭をグーで殴るなどの自傷行為を度々繰り返していました。別の治療法を模索しても、現代とは違って有用な情報はそうそう見つからず。。。モヤモヤとした感情を抱えながら過ごしてきました。

薬の副作用は精神症状以外に身体症状もあったため、できることなら薬は飲みたくないと思いながら、ずっと過ごしてきました。

大学を卒業した後に上京し、夢だった映画や映像の監督の仕事を始めました。現在は映像制作を本業に据えて会社を経営しています。http://www.highrockfilm.com/


【30代】

2013年にドキュメンタリーの撮影でアメリカを訪れた際に、前述の中米出身の友達からCNNの『WEED』というドキュメンタリーを勧められました。

深刻な小児てんかんを患うシャーロットちゃんのお話で、大麻草が彼女や家族の人生を救い、彼らの人生を変えていく。ずっと探していたエビデンスを目の当たりにし、とても興味が湧きました。


それがきっかけとなって、アメリカでフルスペクトラムのCBDを使いましたが、当時のアメリカでも抗てんかんのためのCBDの詳しい使い方は公にされていませんでした。実際にどのくらいの分量を摂取すればいいのか、どのタイミングで摂取したらいいのかチンプンカンプンで、現在よりも何倍も価格が高かったこともあり、結局CBDオイルの使用継続を断念しました。


その後、仕事が忙しくなると同時に、発作は如実に増え、症状が酷くなりました。

私の場合は発作がある度に意識を失います。その度に頭や上半身に骨折や傷ができました。そして発作後には記憶障害が起こります。さらに30代になってからてんかん発作の途中にせん妄が起きるようになりました。


せん妄は、記憶や意識がなく寝ぼけたような状態になります。別人格が身体を乗っ取るような感覚で、意識はないのに突然家の外に飛び出ようとしたり、英語で会話を始めたり、思春期の子どものようになったりします。ある時は目を覚ますと裸足で道路を歩いていました。意識がしっかりするまでに更に時間を要し、帰宅すると窓ガラスが割れていて鮮血が各所に飛び散っていることなんかもありました。主治医と相談の上、薬をエクセグランからイーケプラに変えても発作は治りません。

そこで、再度CBDで症状を改善出来ないかと思い、もう一度CBDを始めることにしました。


その頃には日本でもCBDが知られるようになってきていて、幾つかのCBDブランドが国内で事業を展開していました。アメリカで医療大麻が広がるにつれて大麻とてんかんの研究が進んでいたので、それらの数値を参考にして毎日CBDオイルを飲むようになりました。



Q:アメリカに滞在中は、てんかんの薬はまれていましたか?


はい。日本に一時帰国した時にてんかんの薬(エクセグラン)をまとめて入手したり、親族にアメリカへ送ってもらいながら継続して服薬しました。

エクセグランをちゃんと飲んでいたときにも、年2~3回の意識障害を伴う発作がありました。当時はあまり気に留めていませんでしたが、就寝時の発作を含めると結構な回数の発作が起きていたと記憶しています。



Q:てんかんの発作中に苦しさは感じますか?


いいえ。私の場合、発作のほとんどが意識を失ってから全身けいれんを起こすので、発作中に気持ち悪さなどを感じることはありません。

就寝中に発作があると、起床時の気持ち悪さと倦怠感、そして脳を掴まれているような不快な感覚で発作があったことに気付きます。覚醒時に起きる部分発作(痙攣)については、私は妻と普通に話しているつもりで自覚がありませんが、妻から見るとおかしくなっていると分かるようです。もしかしたら実際には私が気付いていない発作がもっと起きているのかもしれません。


若さゆえ、こうした状態をしばらく放置してきたのですが、30代半ばになると、話している時に言葉が詰まったり、記憶のエピソードがなくなっている、精神状態が不安定になるなど脳機能の低下や精神症状を実感するようになり、生活に支障を来たし始めたため、ようやく自分の置かれている状況に危機感を感じるようになりました。



Q:ご同席されている奥様に伺います。発作時のご主人のご様子についてお話し頂けますか?


夜中3時頃が多いように思います。自動症(※1)みたいな症状が起こるとすでに意識がなくなりかけていて、その後、捻れたりガタガタする痙攣発作を起こします。

発作が連続して止まらなくなると重積発作になって救急車を呼ぶこともありました。ある程度はすぐに発作が止まるので、主人が目覚めてから発作があったことに気が付きます。私は自動症のことを知らなくて、初めは何を言っているのか分かりませんでした。



Q:CBDを摂取してから変化はありましたか?


CBDオイルを再開して、毎日飲み始めた2019年頃から2022年秋頃までの約4年半は発作を抑えることができました。発作が治まり2年間を過ぎた頃から減薬し、最後の2年半は抗てんかん薬を辞めることができました。これが僕の中でCBDの効果を実感したと断言できるエピソードです。


私のようにてんかんの症状があると、本人だけでなく家族や周りもいつ発作が起こるか分からない不安を抱えることになります。でもCBDを摂取することで発作を抑えられると、その不安も併せて軽減できます。



Q:奥様に伺います。奥様から見てご主人変化はありましたか?


薬の副作用で感情のコントロールが乱れたり攻撃的になることもありました。今はそのような症状が減ってきて、コミュニケーションがスムーズになってきたように思います。


また、脳内出血の後遺症の麻痺で物を落とすことが多かったのですが、徐々に物を落とさなくなりました。麻痺が軽減されているように感じます。


それと、左半身が疲れてくると足を引きずることがよくありましたが、そうした仕草も最近は殆どなくなりました。薬で麻痺が消えることは今までありませんでしたが、CBDを摂取してから麻痺も改善されているので、凄いと感じています。



Q:当初CBDの摂取量が分からないと仰っておられましたが摂取する量はどのように決められましたか?


初めは健常者が飲む量を参考に、1日あたり25mgからスタートしました。それ以降発作がある度に徐々に摂取量を増やして、重積発作以降は350mg摂取するようになりました。量が増えるにつれて発作抑制の効果や副作用の軽減を実感しました。現在は700mgを摂取していますが、数ヶ月発作を抑えられていて、脳や身体の調子は良好です。



【妻】抗てんかん薬をずっと飲み続けることへの疑問や副作用の心配がありました。私が植物療法をやっているので、「植物で病気の症状を改善できないか」と主人に話すと「CBDが有効かもしれない」ということで、アメリカや海外の資料でCBDの効果を調べながら摂取するCBDの量を増やしていきました。



また、重積発作を起こし生死をさまよった後に、正高先生に相談をしました。その時にてんかん患者は子どもでも100mg以上を摂取していることを知りました。CBDジャーニーのイベントでは、がん患者の方が想像以上に多くのCBDを摂取されていることを知り、そういった情報も参考にしました。



Q:最近てんかん発作はありましたか?


CBDを摂取してから4年以上発作が止まっていましたが、CBDの量を減らした直後に重積発作がありました。

なぜ摂取量を減らしたかというと、私がCBDの事業をしている関係で海外のCBD業者から「CBDをある程度摂取するとCBDは要らなくなるから。それはすごく良いことなんだよ」という話を聞き、それを間に受けたためです。発作があったのはCBDを辞めた2ヶ月後のことでした。私の発作を抑えるにはCBDはやはり必要なんだと思います。



【妻】直近だと、THCVが規制されてその後に服用した別のCBDが効かなかったのか、今年に入ってから二度発作がありました。以降CBDや希少カンナビノイドの摂取量を倍に増量して、発作は落ち着いています。微量に含まれるCBD以外の成分に効果があるのではないかと思っています。



THCVが規制された今、私はCBDVに注目をしています。少量の摂取でもてんかんに有効とのエビデンスを知り、ここ数ヶ月服用していますが、症状はとても安定しています。



Q:先ほどCBDの事業をされているというおしがありましたが、CBD事業を始められた経緯や現在の事業展開の様子などについてお聞かせ頂けますか?


まずCBDが私の身体に効いているということ。そして2017年頃はまだ日本でのCBDに関する情報が少ない時でしたが、売りっぱなしの商品をオンラインで見かけるものの、実際にどう使ったらいいのか案内できる人が皆無という状況だったこともひとつの理由です。妻がハーブを扱う仕事をしているということもあり、CBD事業で協業することにしました。



【妻】元々オンラインショップのみでハーブ製品の販売をしていました。そこにハーブ由来成分のひとつとして、大麻草由来のCBDを取り入れたのが2018年。夫のように救われる人がいるのなら、他にも病気の症状で困っている人に効果があるんじゃないか?そのためにも大麻草の成分を細かく調べて、CBDと相性の良いハーブの組み合わせを考えました。THCなど日本では違法で使えない有効成分を、他のハーブで補うような商品開発をして、お客様の個性に合わせたハーブ製品の使い方をご案内し、多くの方から好評の声を頂いています。



最初は私が利用するためのCBDアイソレートを輸入するところから始めました。店舗を持たず小さな規模ではありますが、2019年頃からは商品を百貨店に置いてもらったり、全国津々浦々でイベントを中心に出店し、CBDやカンナビノイド製品の普及を心掛けてきました。



【妻】CBDブランドはCBDショップに製品を卸すのが一般的だと思いますが、私達はアロマショップ、ヨガスタジオ、百貨店、サウナ、自然志向のお店などに商品を置いてもらっています。また、ワークショップやセミナーをしながら、植物のひとつである大麻草由来のCBDを前向きに認知してもらえるように活動をしています。



私が原材料の輸入、CBDに関する最新の知識を調べて、妻がハーブとCBDの組み合わせを熟慮して商品のプロデュースをしています。人体実験は私の担当です(笑)



Q:CBDをご自身が使用する上で困っていることはありますか?


個人的に心配しているのは、毎日CBD(カンナビノイド)を多量に摂取しているので、その状態がずっと続いた場合の肝臓への負担です。理想を言うと、THCやTHCVなどいろんな成分が微量に入ったフルスペクトラム製品を摂取できれば、CBDの摂取量を今よりも大幅に減らせるのではないかなと思います。



Q:貴重なお話、本当にありがとうございました

最後になりますが、患者会へのご意見や他に何かありましたらお聞かせください


2022年12月に厚労省副大臣へ陳情に行く機会(※2)を頂き、それがきっかけで患者会に入会しました。実は、その前月に発作があり、発作直後のフラフラな状態でCBDジャーニーのイベントに行ったり、陳情の件もあり、発作後の朦朧とした意識の中バタバタとよく分からず患者会に入会しました。患者会のコミュニティーに加わってから、他の患者さんが摂取されている量について聞けたり、同じ病に悩む方々と交流を重ね、CBDのことをこんなに相談できる人達がいるんだということを知り、かなり気持ちが楽になりました。



今言いたいことは沢山ありますが、そうですね…

10月以降(※3)も私達のような患者が継続して不安なくCBDや他の成分も利用出来るような環境になるよう、そして、とりあえず医療のところから、てんかん患者だけでなく、線維筋痛症や癌の方も心置きなく摂取できるようになることを願っています。


僕は脳内出血した後の後遺症やてんかんという宿命を背負って生きてきて、運良くCBDに出会って症状が改善しました。そのことで誰かのために、みんなのために、自分が出来ること、やれることがあると気付きました。


てんかんの方達は声をあげることが出来ない人たちが多いと思っています。症状が重かったり、発作のある毎日や不安を抱えて生きていると目の前のことに追われてしまってそういう気分ではなくなると思うんです。だからこそ、一人の患者として行動を起こして、明るい未来の礎にできたら幸いです。


今も私達のために骨を折って行動に移してくださっている議員さんやお医者さんがいらっしゃいます。真に健全な社会を築いていくためにも、もっとたくさんの人達に私たち患者の声を届けていくことが必要です。そして厚労省には薬とは異なる作用機序を持つカンナビノイドの可能性について理解をして頂き、生命を優先した法改正をしてもらえることを願っています。




※1 自動症には口をもぐもぐしたり、ものを噛む動作をしたり、口をならしたり、飲み込み動作などの食機能自動症、手をもじもじしたり、服のボタンをいじったり、手をふりまわしたり、こすりつけたりするなどの身振り自動症、あるい動き回ったりする歩行自動症などがあります(てんかん情報センターより抜粋)


※2 2022年12月7日、臨床カンナビノイド学会(太組一朗理事長•聖マリアンナ医科大学脳外科)主催による「大麻由来医薬品の治験成功と法改正に向けた緊急国際集会」が参議院会館特別会議室にて開催


※3 2024年10月1日から大麻取締法改正施行に伴い、カンナビノイド製品に関する残留THC値の基準厳格化が実施される(2024年8月時点)


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